今回はラテンダンスコラム【第1回】という形でサルサダンスについて紹介します。
「ダンスなんて踊ったことないよ」という人も是非ご一読下さい。私もかつてはその一人でしたが、今は私の人生に欠かすことのできない一生涯の趣味となりました。
この記事があなたにとってまだ見ぬ世界への扉となることを願って。
サルサダンスとは何か
まずサルサダンスと聞いて何を思い浮かべますか?
“社交ダンス”ですよね?ウリナリ!で見たことがあります。
『ウリナリ芸能人社交ダンス部』(ウリナリげいのうじんしゃこうダンスぶ)は1996年4月 – 2002年3月に放送されていた日本テレビのバラエティ番組『ウッチャンナンチャンのウリナリ!!』(通称:ウリナリ!!)の企画コーナー。
wikipediaより
古いよ!😱昭和~平成初期生まれの方はこのイメージが強のか今まで質問したなかで圧倒的に多い答えでした。それより若い世代は「そもそも知らない」という方が多いです。
確かに男女のペアダンスという点ではサルサダンスも社交ダンスも同じです。
そもそも日本における社交ダンスとは、日本にあるいくつかのダンス連盟が定める10種目の競技ダンスを指すことが一般的なようです。(私も社交ダンスについては門外漢ですので詳しい説明は省きます。)
ではサルサダンスの方に焦点を当ててどういった特徴があるのかを見ていきましょう
サルサダンスの特徴
では順番に解説していきます。
男女のペアダンス
両手をつないで踊り、男性のリードにより女性は美しくターンしたりステップを踏みます。男性は曲に合わせてリードし、女性はリードに合わせてフォローすることで、上手な人ほど曲とパートナーとの一体感を得ることができます。映画で例えるなら曲=“脚本” 男性(リーダー)=“監督” 女性(フォロワー)=“俳優” 素晴らしい脚本(曲)に沿って監督(男性)が俳優(女性)を引き立てることで一体感のある作品を生み出すといった具合です。
腰を使った早いステップ
早いテンポの曲が多いのもサルサの特徴と言えます。具体的にはBPM160~220くらいのテンポ4/8拍子の8カウントの中で6回のステップを踏みます。
1,2,3(step,step,step)4(break)
5,6,7(step,step,step)8(break)という感じで8カウントのうち6回ステップを踏みます。
またステップの際に流れるような体重移動を行うことで、ヒップが大きく動くように見えるのが特徴です。プリプリお尻を振っているように見えますが、“体重移動による骨盤の動き”というのが正確な表現と言えるでしょう。
場所を選ばずに踊れる
社交ダンス(競技ダンスを指して)はその競技性からボールルームという舞踏室で踊るなどいろいろなルールが存在します。
それに比べてサルサは自由です。パートナーがいて音楽さえあれば何処でも自由に踊ることができます。社交ダンスにもジャンルとして“ラテン”が存在しますが、こちらが“ballroom”のラテンダンスと呼ばれるのに対してサルサが“street”のラテンダンスと呼ばれる所以です。
決まった振り付けがないアドリブである
こちらがサルサと社交ダンスを分け隔てる最大の特徴であり魅力であると言っていいでしょう。
スポーツとしてルール化する必要から競技ダンスとしての社交ダンスは固定パートナーと振り付けを練習する一方、サルサは初めて聞く曲、初めて踊る人とでも振り付けを予め決めることなく音楽に合わせて踊ることができる。もちろん好き勝手に何をしても許されるという訳ではなく、曲の理解、ステップやターンの基礎理解は必要不可欠であるが。
では次にこのようなサルサのルーツについて見ていきましょう。
サルサダンスの起源
サルサ(salsa)ダンスのsalsaはそもそも「ソース」を意味します。色んなものを混ぜ込ぜに取り入れながら生まれたので“salsa”という名前がついたんですね。
音楽のルーツはキューバの「ソン」にあります。1960sニューヨークに移住したプエルトリコ移民らがソンを元にジャズ、ソウル、ロックなどの要素を取り入れながら発展させたのが起源とされています。その後地域ごとに様々なスタイルを確立しながら現在の形になったと言われています。
代表的なスタイルが3つあります。
on1サルサ(LAスタイル)
曲のカウントの1拍目にアクセントがあり、Los Angelsで発展したのでこう呼ばれます。特徴としては男女のペアが一直線上で前後にステップを踏んで踊ります。8カウントのうち①と⑤にアクセントがあるので曲に馴染みのない人でもカウントを取りやすいこと、明確な緩急がついてダンスにキレがあることが挙げられます。
on2スタイル(NYスタイル)
曲の2拍目にアクセントを持ち、New Yorkで発展したことからこのように呼ばれます。こちらも男女のペアが一直線上で踊る点においてはon1と同じですが、②, ⑥拍目アクセントが置かれるため、流れるように踊られることが特徴です。またサルサ楽器との親和性が高いため、慣れた人だとon2の方が曲に合わせて気持ちよく踊れるという人もいます。
キューバンサルサ(Salsa de Casino)
今でもキューバで盛んに踊られているスタイルです。特徴としてはon1,on2が線上の動きなのに対して、円を描くようにぐるぐると回りながら踊るということです。on1やon2スタイルがかつて劇場で観客に見えやすいように線上に踊ったのに対して、キューバンサルサが仲間内で楽しむために踊ったというルーツが背景にあります。
世界中で踊られているサルサ
そしてサルサダンスは上記で見たアメリカ、キューバだけでなくスペイン語圏をはじめとするラテン諸国はもちろんのこと、ヨーロッパ・アジアと至るところで踊られている世界的なダンスカルチャーです。
これもひとえに
踊れる特徴から爆発的に世界的な大衆文化となったと言えるでしょう。
ちょっと待ってくださいよ、そんなに世界的にもポピュラーな文化なのに今まで全く知らなかったよ?
そうなんです、日本において普通に生活していたらなかなか触れる機会がないと思います。実際僕がサルサに出会ったのも海外旅行中のことでした。そうでなければ僕も今も変わらず「サルサって何?」状態だったと思います。
次に日本におけるサルサの現状について少しお話したいと思います。
日本におけるサルサダンスの現状
少子高齢化の波はサルサ界にも押し寄せて来ているのです。1980sにサルサ文化が流入し、そこから一時的なブームが起こるもその後は下降トレンド。当時現役だった人も歳をとるので新しい担い手がいなければ当然廃れてしまいます。
激しいスポーツと違って歳をとっても現役でいられるというのはサルサダンスの素晴らしい点でありながら、いつまでも新しい“DNA”を取り込まずにいると気付いたときには周りにはおじいちゃんおばあちゃんしかいなかった、なんてことになりかねません。
まずはサルサのことを知ってほしい、そもそも若い人に認知されもせずにひっそりと廃れていくにはあまりにも惜しい程素晴らしい文化だと思っています。
これが私が今回サルサダンスについて執筆した動機です。どういう経緯にせよスペイン語に興味を持った人であればあなたの中に眠るラテンの血がうずくはずです。
特別な道具もスキルもいりません、まずはサルサと出会ってみてください。この記事があなたをサルサ界に導く扉となれば幸いです。
おわりに
第1回はこのへんで終わりにしたいと思います。サルサダンスがどんなものかイメージはつきましたでしょうか。知っていただいただけでもこの記事を書いた価値があると思います。
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